GROWING,DRINKING, AND EATING TEA IN JAPAN

■ Introduction:

日本の都市九州の博多から北の方へ45分ほど行くと、お茶の町,星野へたどりつきます。そこへ行くまでの道には、工場やホテル、ゴルフ練習場のネット、住宅地、会社などが密集していて、頭上には電線がはりめぐらされているといった日本の典型的な景色を目にすることができます。そこからほんの少し車を走らせると、さきほどまでの景色からは想像もできないような、小高い丘や竹やぶが密集し、春には緑の中に桜が咲きほころび、急斜面ではお茶を栽培しているところにやってきました。 この旅行に同行してくれた日本人の方にン茶の主な6゚ンテゴリーに゚ソ、そして研究所では日本茶だけでなく紅茶やウーロン茶の実験もしているということを説明していただきました。緑茶は葉を摘みとってソソ熱を加え、その後乾燥させて作り ます。てん茶(日本の茶道で使われる抹茶の粉末にする前の茶葉)や玉露(宝石の滴の意)を作るために使用される茶葉は、日よけをして直射日光をさえぎって育てられます。煎茶(浸出するお茶)、玉緑茶(丸い形)、番茶(普段使いのお茶、より荒い茶で番茶に炒った玄米を混ぜた玄米茶、番茶を炒ったほうじ茶がある)、これら3つの玉露より低いグレードのお茶は、玉露とは異なり太陽の光をたっぷり浴びて育ちます。

■ PRIZE-WINNING GYOKURO:

曲がりくねった道の両側に広がる茶畑の大部分はもう茶摘みが終わっていて、整然と した起伏のある茶畑がいたるところに見えました。しかし私が訪れた3月ではメインである玉露の茶摘みはまだ行われておらず、5月中旬ごろからはじまるということでした。なかにはもう日除けをして直射日光を遮っている箇所もあり、日除けには合成繊維の生地や黒または黄色のネットなどが使われていました。茶摘みの3週間ほど前から直射日光をさえぎることで、茶葉を霜から守り、クロロフィルを増加させ、より濃い色の葉をもちより甘みが強く、香りの凝縮したお茶ができるのです。最高級の玉露は茶摘みの20またはそれ以上前に、日光を95%遮ります。次のグレードの玉露は15日前に90%、もっと低いグレードになると7〜10日前に80%〜65%の日光を遮ります。高級になるほど長い期間直射日光を遮るそうです。

日除けをするタイミングはきわめて重要です。最上級品の玉露をつくるには、0.5〜2葉期に金属か竹の枠組み(これは一年中そのまま設置されている)の上に「わら」または黒いキャンバス地をかぶせて日除けをします。次のグレードの玉露だと2〜2.5葉期、さらに低いグレードになると2.5〜3葉期のタイミングで日除けをします。

その日除けカバーは、一気にかぶせるものではなく、2,3日かけて徐々にかぶせていきます。そうすることで新しいつぼみの成長を徐々に遅らせることができるのです。最上級品は戸外で栽培されますが低いグレードのものは温室で栽培されることもあります。

玉露の生産方法や最上級品の驚くほどゑ滂泙オさをもっぱ滂滄スめに、私渭J田藤雄さんが所有する小じおんまりとした茶畑を訪れました。そこの玉露は3年つづけて「特級品」に認定されています。彼は9代目トモ栽培しており、笛田夫妻は笑顔で私たちに自分達の仕事やお茶について話してくれました。その様子からみても、彼らがこの仕事をとても愛しているのがわかりました。

笛田さんは自分の家の周りの土地で茶を栽培しており、生産量は年間およそ75Kgです。収穫するのは5月ということで、私たちが訪ねた時はまだ時期が少し早かったため、茶畑に日除けをかけている様子を見ることはできませんでした。多くの栽培者は合成繊維でできた日除けを使っているなかで、笛田さんはもち米の稲わらと「すまき」を使います。それが最上級の玉露を作るのには欠かせないということでした。雨が降った時にその稲わらの芳香が雨と一緒に土に中へ入り、その茶葉に極上の品質を加えるのです。「絶対に違いがわかるはず」と彼は断言していました。

毎年行われるお茶の品評会に4Kgの玉露を作る場合、30人がかりで一日のうちに茶摘みをする必要があるそうです。そして残りは、5日間で茶摘みをします。玉露は若い葉の方が甘みが強いので、まだ開いていないつぼみの葉を使います。てん茶(抹茶の粉になる前の茶葉)には開いた葉を使います。一つのつぼみと4、5枚の葉を摘みとり、開いた葉から丁寧につぼみの部分をはずします。これは、最終的なお茶の品質を決定する非常に重要な作業です。

摘みとった茶葉は地域で提携している工場で加工してもらいます。それぞれの農家は自分の収穫した茶葉の加工される行程を厳しく監視します。品評会では日本中のお茶が審査されますが、その中で笛田さんのお茶のおいしさに品評会でも評判をよび、賞金やカップ、トロフィーを手にしました。そのお茶は1Kgあたり」150(¥36,000)の値で落札されました。笛田さんの奥さんにすすめられてそのお茶を試飲してみたら、なるほど高価で落札されるだけだけた価値はある味でした。ほんとうにおいしかったです。

茶摘みが終わったらすぐに茶畑は刈り取られて葉は茎からはずされ、刈り株を守るために、葉のない小枝や枝をその上に広げておきます。1・あたりに90もの枝が必要で、それは新芽がでてくるまでそのままにしておきます。新芽がでるのは早春頃です。玉露の茶樹は煎茶や番茶の茶樹よりも密集させ@"間隔をおい@@されており@@年から60年もの間高品質の茶を生み出します。日本の茶樹の大部分は30年かそこらで、樹齢が古いものほどよい玉露がつくれます。 B>
■ INSIDE A GREENN TEA FACTORY:

緑茶製造工程を見るために、私たちは京都の南に位置する宇治の福寿圓を訪れました。中に入る前に白い上着と帽子を身につけ、靴を青いゴム製のスリッパにはきかえました。

緑茶工場の中に入ると、強い草のような摘みたての茶葉の匂いがしました。工場へ運ぶまでに、発酵を止めるために蒸し、丸められ、大きな袋に入れて工場に運ばれてきます。そこで大きな保冷庫に入れて保存されます。


オートメーション作業で茶葉が加工されていきます。まず茶袋の束が持ち上げられ、そこで機械が袋を開けて、茶葉を第一段階の作業をする機械に入れます。茶葉は大きな機械で、大きさによって仕分けされ、それぞれ次の段階へ運ばれていきます。

作られる茶の種類によって、それぞれにふさわしい行程へ茶葉が運ばれます。

行程には、   
  1. 乾燥
  2. 厚み長を整えるためのふるいわけ
  3. 茎、ふるいかす、大きすぎて裁断する必要のある葉などを取り除く
  4. 丸める
  5. 形を整える
  6. よじる
  7. 摩擦
  8. それぞれにふさわしい温度と時間で蒸す
という段階があります。

パッキングルームでは自動袋詰め機の Hasse and IMA high speed という機械で30,000~50,000袋分の茶葉が毎日袋詰めされています。この袋詰め機は、さまざまな茶葉を袋や小包、小さなカンに詰めることができます。さらに真空パックにしたり、ギフト用の袋に詰めることもできるそうです。少量は海外、主にアメリカへ輸出されますが、たいてい家庭や日本中の120店舗の小売店や、ゲストルーム用にホテルへ卸されます。

工場見学が終わった時、先ほど入り口で脱いだ靴が次の見学する場所へ運ばれてきていました。そしてそこで白衣と帽子を脱ぎ、自分の靴にはきかえて工場の中の博物館を半時間ほど見学しました。そこには茶葉を栽培したり加工するために昔使われていた道具や古い大きな陶器製の保存容器、茶問屋が使っていた道具などを見ることができました。

@TA MATCHA FBBR: 宇治にいる間に、私たちは丸久小山圓にも訪ねました。そこは宇治で抹茶を製造している老舗の会社です。その日私たちは約束の時間にひどく遅れてしまいました。なぜなら福寿圓の工場でできるかぎりいろんなことを学ぼうと夢中になっていて、予想以上に時間がかかってしまったからでした。しかし遅刻してしまったことは幸い大きな問題になりませんでした。

私たちが小山圓に到着したのは夕方4:30ごろでした。オフィスは5:30か遅くとも6:00には閉まります。しかしオーナーの小山俊美さんは私たちを丁寧に出迎えてくださって、3時間もの間オフィスの中を案内してくださいました。まず始めに道を 渡ったところにある自家農園の茶畑を見せてくださいました。今年は例年より温かくなるのが早いため、すでに玉露を栽培している茶畑にはよしずがかけられていました。私たちは茶畑を行ったり来たりしながらさまざまな種類の茶葉を見てまわりました。

裏千家制作の「茶道誌」の中で、違う種類の畑の土で育てられた茶葉をブレンドすることが、年間を通じて同じ銘柄のお茶の風味を変えずに独自の味を出していく鍵である、と小山圓の方が説明している記事がありました。

雲鶴と名付けられた小山圓の抹茶は、宇治川の東側と黄檗山の計2カ所で栽培されている、5種類の茶葉をブレンドしています。そして気候や土壌のコンディションが変わっていく中で高品質のお茶を作るために、茶を栽培する農家の近くで会社を経営しています。茶畑では主に有機肥料を使い、土は絶えず堆肥と砂を加えています。

次に茶葉を加工する場所へ案内していただきました。福寿圓で見たものよりやや小規模ですが、摘みとった茶葉を同じ方法で処理していました。小山圓では1500種類のサンプルを契約農家から受け取り、そのサンプルを少なくとも2回、じっくり鑑定します。鑑定する時は北向きの部屋で行います。これは太陽の光は茶葉の色を実際よりも緑に見せてしまい、天気によってお茶の色目が違って見えるからです。選ばれた茶は通常の蒸す、乾燥、選別、精製という行程を経てから粉末にします。100Kgの茶葉を摘んだ場合、11Kg分の抹茶を作ることができます。

日本茶の製造行程は、年々近代化されてきていますが、抹茶にするために粉砕する行程だけは、現在でも昔ながらの石臼で行われています。手づくりの石臼で茶葉を引き裂き、つぶし、よじることで粉状にしていきます。その大きさは1〜5ミクロンという細かさです。40gの抹茶を作るのに約1時間も石臼でひかなければならないのです。 粉砕は手作業によって行うこともできますが、ここでは機械化されています。粉砕室は何百という石臼がヒューヒュー音を立てて動いていて、空気中のいたるところに明るい緑色が散らばっているのが見えます。できあがった抹茶は袋詰めにされるか、缶に詰めて、一般の顧客へ売られたり、ソフトドリンクや抹茶味のアイスや抹茶クリームなどを作る食品工場へ売られます。

実際の製茶室というのはガラスばりになっていたのですが、その部屋から出てきたら緑色の粉が自分の靴や衣服にたくさん付着していました。それを払いおとしてから、オフィスの畳の敷かれたところに座ってお茶をいただきました。 そこではいろんな種類のお茶を使ったアイスクリームを食べたり、いろんな種類のお茶を飲みました。私はここで、日本の茶産業について新しい発見をすることができました。

■ TEA RESERCH & CULTURE CENTERS:

福寿圓の工場から5分ほど離れたところに近年、研究所として Culture Health Amenity(CHA)が建てられました。そこは所長曰く「人と人、人と文化、文化と文化のコミュニケーションのきっかけをつくる場所」ということでした。世界中で愛されている「CHA」にもっと親しむようになってほしい、という願いをこめて建設されました。

中国茶の製造行程や日本茶の製造行程の設備などがミニュチュアで展示されています。訪れた人は、どのようにして茶葉が茶畑から摘みとられて、いつもの見慣れた緑色のペタンとした針状の形の煎茶や玉露になっていくのかがわかるようになっています。

茶工業研究所では、緑茶(半発酵茶、ウーロン茶と通常呼ぶ)と紅茶の研究と開発が行われています。戸外の茶畑には、全国28産地の茶を育てています。東側の温室では土を使わずに火山小石を敷いた所で茶を育てています。

化学研究所では、体系化された茶栽培が行われており、隣接した知覚研究所では5感のすべてを使用して茶葉のテストを行い、茶葉のランクづけをしています。 試作実験室では、新しい茶製品(飲料水やインスタントティー)が研究、開発されています

工芸品が飾られている棚には、新しいデザインの抹茶茶碗や湯のみが置いてありました。それは形にはめて作られたか、ろくろでつくられたかのどちらかです。お茶の道具を作ったり、それを作るために新しい技術を研究するのに必要な、絵の具や素材が部屋中にあります。生徒や職人はここへ来て、その道具を使用して新しい技術を学び、新しいお茶の飲み方を一緒に研究したりすることができるのです。  上の階には、世界茶研究所がさまざまなお茶の飲み方やお茶の道具を展示しています。そこにはチベット、トルコ、ロシア、中国、英国、モロッコなどのテーブルウェアやお茶を入れるための道具が展示されています。それを使ってどのようにしてお茶を入れて飲むのかをビデオで上映しています。

さまざまな種類のお茶室やホールがあり、そこは伝統的な和室になっています。畳の部屋に掛軸がかけられ、花が生けてあり、茶道用に道具が置いてあります。このセンターでは特別にこの落ち着いた雰囲気のある部屋やセミナールームやレクチャールームで、お茶の集会やイベントを開催しています。また売店では、洒落たパッケージのお茶がたくさん売られていて、また抹茶茶碗や急須、お茶菓子、お茶や本やカードのセットなども売られています。

3年前に建てられた星野の茶研究所は、私たちが訪問した笛田夫妻の住む小高い村に建てられました。そこは茶畑や花(お茶以外の主作物)を育てているプラスチック製やガラス製のトンネルが一望できるすばらしい所でした。そこでは大きな展示場に世界中のお茶を飲むための道具が展示されていたり、お茶ができるまでの行程を説明したもの や、伝統的な茶室の庭を複製、再現したものがありました。訪れた人はそこでいろんなお茶を飲んだり、昼食をとることができます。戸外には茶製造の機械が実際より小ぶりですが置いてあり、どのようにして使われるのか説明書きがついています。

■ EATING TEA:
緑茶は体にいいということが分かってから、日本では緑茶入りの食品が急増しています。茶そばなどもレストランのメニューになっています。抹茶とほうじ茶入りアイスはたいていスーパーでも手に入り、普通のアイスクリームのようにそれを食べながら歩いている人を見かけるでしょう。他にもとてもおいしい抹茶クリームが入ったビスケットや、お菓子、チューインガム、ゼリーにも抹茶味のものがあります。

茶業界やリサーチセンターが先頭に立って一般の人に緑茶入りの食べ物を広めてきました。丸久小山圓では抹茶のたてかたや料理のレシピに抹茶を使う方法を知らせるためにビデオを制作しました。そのビデオでは「バターと砂糖と抹茶を混ぜ、トーストに塗る」「抹茶をたて、小豆の上にかける」「抹茶をたて、バニラアイスクリームの上にかける」「天ぷらを食べるときに、塩に抹茶を加えておく」などのレシピを紹介しています。

特にある女性はお茶をそのまま食べたり、料理に使うアイデアを大々的に広めてきました。彼女は徳永睦子さんといって、ラジオで料理について話をしたり、お茶を使った料理の本を3冊出版しています。彼女は星野文化センターと協力し合い、お茶を使った 料理をティールームのために考案しています。わかめ入りのだしに入った茶そばやほうじ茶を入れてごはんを炊いたもの、おつけものの上に茶葉をふりかけたりetc‥

彼女のレシピ集には魚のマリネにお茶を使っています。その他ベーコンやビーフでスープをとる時にお茶を加えるアイデアや、お茶風味のご飯、魚を焼く前に振りかける、スープにふりかける、野菜炒めにふりかける、サラダに混ぜる、てんぷらの衣に混ぜる、カナッペや寿司やパテに使う、パスタや米や野菜のソースに使う、ソーセージやミートボールに入れる、シャーベットやスポンジケーキやパイ、タルト類、茶団子、緑川豆腐などにもお茶を使用しています。

スーパーマーケットでは、お茶を他のハーブとミックスしたスパイスや、ふりかけ。ソフトドリンク、料理に使うための粉末緑茶などが売られています。

彼女はまた、星野茶文化センターのティールームで最高級の玉露を飲むための蓋つき茶碗を考案しました。

そのティールームでは蓋付茶碗と茶、お湯、お茶菓子と黒文字をトレイにのせて運んできます。茶碗の中には茶さじ1杯分の茶葉が入っていて、すでにお湯を入れて1,2分蒸らしてあります。飲む時はその茶碗を静かに左手にのせ、右手の人差し指を蓋の上 にのせ、親指を蓋の縁におき、茶葉を押しとどめるように少しだけ蓋をずらします。すばらしい香りの玉露が口に中に入ってきます。

玉露の甘みはすばらしく、後味も大変いいものでした。さらにその茶葉にお湯を足すともう1杯飲むことができます。一煎目と比べると少し薄くなりますが玉露特有の甘みはまだまだ楽しむことができます。

文化センターでは、飲み終えた茶葉にしょうゆをたらして食べるように勧められて、その通りにしてみると、とてもおいしいものでした。日本以外にもお茶の用途の広さを認識し、料理に使ったり日常食の一部としてお茶を食べるようになるにはどれくらいかかるかしら、と考えさせられてしまいました。

Tea & Coffee Trade Journal
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