■ 第八回 特別編 モロッコ アルガンオイル III

第3弾はIIの続きです。

長くなりましたがこの2年すっかり魅惑されたアルガンオイル自身とそれを守っていく組織自身を詳しく紹介したいので2回にまたがってしまいました。では続きをどうぞ!

アルガンツリーは、第三紀から残存する古い木で、長い間の気候の変化にも耐えてきました。その驚異的な生命力で、今でもモロッコの南西部で自生しています。雨が何年も降らなくても自ら冬眠状態になって生命維持をするそうです。地中深く根をおろし水を探します。そのおかげで水を含んだ層を作り他の植物のためにもこの木は必要性があるのです。

核の仁から油が採れ、その油は非常に健康にいいものです。植物油の中で一番ビタミンが豊富で、特にトコフェロール(老化防止に効くビタミンE)はオリーブオイルの4倍も多く含まれています。アルガンオイルは、コレステロール値を下げる不飽和脂肪酸が80%を占め、心筋梗塞やその他心臓疾患の予防にも大変効果があります。

朝食でトーストにアルガンオイルをたらして食べたり、サラダのドレッシングとして、料理に、スクランブルエッグやオムレツに、香ばしい香りが食欲をさそいます。

ぜひ一度試してみませんか。



アルガン用のロースター

さて、「アルガン II」の続きです、

皆さんが剥いたアルガンの実を料理用にローストします。

コスメティック用はローストしないでそのまま絞ります。クールプレスと呼ばれる方法です。

30kg一緒に仁核を煎ることができるロースターです。

簡単な機械ですが第一弾のタルダントの生産者が家の屋上で薪に火をつけて焙烙で煎っていたのから考えると大変効率の良い機会です。

この下に細いガスバーナーが2本並んでいます。ちょうどお好み焼きのバーナーのようでした。



アルガンの実を絞る機械
ローストした実をこの機械で絞ります。

これもタルダントの女性は伝統的な石の臼で仁核を挽いていました。

その後ペースト状態になったアルガンは水を加えて油を分けて抽出していましたね!(特別編 第一弾を見てください)

しかしこの「AMAL」のグループは作り方が違います。

2002年初めて作り方を見たときは伝統的な方法で感激しましたがここは近代化されていて品質がよく感心させたれました。水が清潔でないとなかなか保存が難しいです。ですからこの方法は水を使いません。



カスを取り除く
絞った後この下の白いフィルターが27枚縦に並んだ機械でフィルターで漉します。

そうするとこのスプーンの上にある状態の絞ったカスを取り除くことができます。

この作業は伝統方法では水を加えていって固形物と油にセパレートさせていく作業と同じです。

水が大変貴重なモロッコの砂漠地方ではきれいな水を使うのは大変難しく水を使わない方法を考えて作られたのがこの機械だそうです。

品質的には大変よいオイルは取れます。このペースト状態のアルガンはこの「AMAL」が作っている2種類の石鹸の1つに使われて有効利用しているそうです。



2種類のアルガンオイル

出来上がったアルガンオイル。これには2種類あります。

ひとつは伝統的な味のローストタイプ(画像右)。後のひとつは小さなサイズで詰められているのがノンロースト(画像左)です。

ベルベルの人たちが昔から伝統的に使っているのはローストタイプで料理に使うのも髪の手入れや肌の手入れに使うのもこの香ばしい香りのローストタイプだそうです。

砂漠地帯のベルベルの人たちには大変貴重なオイルで足のかかとの硬化などの手入れのほか内臓の調子が良くないときなども使うそうです。

それはアルガンオイルが持っているビタミンEの豊富さで細胞を活性化させる効果と抗酸化作用が大変優れているので生活の必需品だそうです。



ボトリング
ボトリングする場所やパッキングする場所は大変きれいに清掃がされていて気持ちのよい作業場でした。

大変システマティックに見えますが、実はこの瓶に詰めるのは手でピッチャーから瓶に手作業で詰めます。

瓶のふたをこのように機械を使って詰めていきます。

この後上から封印するキャップはまたドライヤーで手作業していきます。

とっても工夫して好感の持てる組織でした。



AMALの女性
私たちをいろいろ案内して説明をしてくれたここで働く女性です。

数人の若い女性が一生懸命働いていました。彼女は英語で説明してくれました。

この場所はこの建物の入ってところにあるレセプションで外から訪ねてきた人たちが説明を聞いたりできるようにいろいろな製造途中のアルガンの実も並べてあります。

もちろん販売をしていますので買って帰れることができます。

あと壁に並んでいる白い本はこの団体「AMAL」のことが書かれている本です。

残念ながらフランス語だけで読めませんがこの組織のことを知ってもらうために販売されています。



見本がいろいろ並べられています。

色々な方に説明をしてアルガンオイルを販売するだけでなく、皆さんにアルガンの木ことを知ってもらうこと、とても貴重な木がいま絶滅の危機にさらされていることなどを、ここでは伝えています。



実を食べるヤギ
「AMAL」から帰る道で出会ったアルガンの林での驚き!

2002年 タルダントでであったヤギと違いとてもワイルドな違う種類のヤギの放牧に驚きました。

前にみたヤギはもっと細く華奢な種類のヤギが木に登って実を食べていましたが、今回のタマナールの村で見かけたヤギは毛足も長い黒いヤギで、先生から聞いたヤギが木に登り木が傷んで枯れて行くといわれたことを思い出しました。

すごい風景でした。
草が生えずヤギの食べ物として共存という意味では必要でしょうが、ヤギの重さで木が傷むのも困ったものです。



アルガンの製品いろいろ
都会に戻ってきてカサブランカのスーク(市場)の中で販売されているアルガンの製品です。

色々な会社のものを一軒のお店で並べて販売しています。

カサブランカはモロッコの都会というだけでなく、アフリカの中でも最大級の都会です。

色々な国から、またモロッコ国内のいろいろなところからこの町を訪ねてきます。

この店は主に蜂蜜、ローズウォーターやオレンジウォーター、ハーブ類と健康食品を扱っています。

アルガンオイルも3社置いてありました。



店頭に飾られたアルガンオイル用の石臼
アルガンオイルは、カサブランカや都会のマラケシュでは買うことができますが、その他のモロッコの都会では買えないぐらいモロッコの中でも特殊なオイルです。

そのため伝統的な石臼を店頭において説明をして販売をしています。

いまモロッコでは国王も国をあげてアルガンオイルの支援をしてアルガンの森を守っていくことを大切に考えています。

地球上でこのモロッコの南半分でしか存在しない貴重な木「アルガン・ツリー」。そしてそれから取れるおオイルぜひ皆様に知っていただきたく3回に渡ってご紹介させていただきました。

私はハーブの中のひとつとしてお茶を追いかけています。

自然の中にある有用植物は大変すばらしいと思っています。その有用植物をそれぞれの国の人たが昔から人間の知恵で有効に利用している、これをぜひ守って続けていただきたいと切に願っています。

このアルガンオイルにぜひ興味がある方はメランジェで取り扱っておりますのでお尋ねくださいね!すこしは「アルガンの木」のことを知っていただけたでしょうか?

次回はトルコの旅のつづきを!お楽しみに。



『お茶の旅』CONTENTSページへ