■ 第十一回 茶畑編 インドの旅 Darjeeling T

アッサムに続いて 茶畑編 インドの旅は、紅茶のシャンパンと呼ばれているダージリン紅茶の産地 「インド・ダージリン」の旅をご紹介したいと思っています。ダージリンという名前は知っていてもどこに有るかほとんどの方は知られません。ネパールとブータンの間にインドシッキム地方があります。その直ぐ下に1800年代初めイギリス人が避暑地として作ったダージリンの町があります。そのあたりに80茶園近くのダージリンの茶畑があります。紅茶の世界三大銘茶をご存知ですか?まず 中国の安徽省祁門紅茶、そしてセイロン(現在は、国名がスリランカ)のウヴァ紅茶、そして最後にインドの ダージリン紅茶です。これは大変香りに特徴があり、薔薇の香りとも蘭の香りとも言われている「 キーマンティー 」、刺激のある芳醇なすずらんやスミレの香りとも、鼻に抜けるメンソール(ウヴァ・フレーバー)のような香り、「 ウヴァティー 」、マスカットのような甘く、爽やかな香りで、マスカテル・フレーバーと呼ばれている「 ダージリンティー 」本当に産地によってこんなに香りが変わるのかと思うほど季節の良いクオリティ・シーズンと呼ばれる時期に収穫された紅茶にはすばらしい香りがあります。ゆったりと産地を思い浮かべて優雅なお茶のひと時を楽しんでみませんか? このお茶の旅がそのお手伝いになればと心から願いダージリンをご案内したいと思います。



インド 西ベンガル州のダージリン(Darjeeling)の地図です。左がネパールで右上がブータンダージリンの上は、シッキム(現在はインドのひとつの州となっています。)

2回に分けてオーナーお茶の旅でご紹介したアッサムは右にあります。

1841年Dr.A.Cambellの手によって標高2100mのダージリンで中国種の栽培を開始したのが世界の銘茶のダージリンティの始まりとなりました。



トイ・トレイン
1881年英国によってニュージャイルパイグリの街からダージリンタウンまで約90Km世界で始めての登山列車が開通しました。時速約10Km「トイ・トレイン」(Toy Train)というかわいい列車が120年以上たった今もなお走っています。昔はお茶の産業には重要な列車だったでしょうが、今は色々な国からの鉄道マニアの観光客が主に楽しみに利用しているだけでほとんどの方は車を使っています。一日2往復と列車の数が少ないうえに大変時間がかかり(約8時間)今の車の時代にはこの歴史的な列車も日常的には利用がなかなか難しいのが現状です。私もいつか乗ってみたいと思うのですがなかなか時間帯が合いません。帰るための車を横に走らせて一駅だけでもと思うのですがなかなか実現できていません。

列車は蒸気機関車と電気の汽車両方が走っています。これは世界遺産に認定され、今ではダージリンの名物となっている鉄道です。



シリグリという町
  ダージリンに一番近い空港、バグドグラ空港から車でシリグリという町を通りダージリンに向かって行きます。この車でドライブしていくと曲がりくねった道にトイ・トレインの線路が道と平行に走ったり、道を横切ったり、あるときは道路より崖淵の際の下のほうに走っていたりします。ダージリンまでの道は大変細くその上下のまちからダージリンタウンへの色々な物資を運ぶトラックが多く、それ以外にはもちろん多くの茶園で採れる紅茶の運搬もトラックで運びます。たくさんの車とトラックが細い上に列車(トイ・トレイン)の線路があり対面ですれ違うことが大変難しく渋滞を起しています。わたしたち旅人は何時までも世界遺産でこの歴史的鉄道をぜひ残してほしいと思いつつ毎日の生活には大変この線路がジャマをしていることも実感させられます。



ジュンパナ・ティ・エステートの看板
シリグリ(Shiligri)の街から1時間程度車で走るとダージリンと呼ばれるお茶の茶園が見えてきます。
バグドグラの空港を出ると道沿いにたくさんの茶園が見えてきますがこのあたりの茶園はドアーズと呼ばれる紅茶の産地でダージリンティではありません。
マハナディ村の駅の横からグムテ・ティ・エステート(Goomtee T.E)、と前にジュンパナ・ティ・エステート(Jungpana.T.E)の看板が見えます。今回のダージリンめぐりの旅の最初はこの二つの茶園から始まります。この茶園はメランジェの世界の友達のコラムに、ロンドンでティ・ライターをしている、Janeさんがインドの機関から頼まれ記事を書いたものをUPしていますのでぜひ参考に読んでみてください。



左から 天ぷら、ジャガイモとトマトのカレー、ダルカレー
Goomtee 茶園のランチタイム。
メニューは、左がオクラの天ぷら(PAKORA )真ん中がジャガイモとトマトのカレー、そして一番左がダルカレーです。これに後グリンピースのご飯(日本の豆ご飯のようです)、ロティです。私はジャガイモのカレーとなすのカレーが好きでここのゲストハウスのベジタリアンフードは毎日大変美味しくいただきましたが、以前インド人の友人がダージリンの茶園に一緒に来たときは、Hotelでなく茶園に泊まるとチキンやマトン、ビーフ、フィシュが食事に出ないので一泊は良いけれど何泊もとまれないと叫んでいました。この2004年4月のダージリンはこのGoomtee 茶園のゲストハウスに6泊しましたが毎日違ったベジタリアンの食事で楽しんで最後の日にはキッチンでクッキングレクチャーまでしていただき大変楽しみました。



ファーストフラッシュで贅沢なティ・タイム!
ランチが終わると場所を変えて、100年以上たったこの英国式ゲストハウスの裏庭のイングリシュガーデンで作りたてのファーストフラッシュを頂きました。
なんと贅沢なティ・タイムでしょうか! ちょうど同じくこのゲストハウスに宿泊のJungpanaのオーナーに茶園の歴史をお聞きしながら午後の紅茶の時間となりました。Jungpanaの茶園はかなり時間がかかるのでお茶を飲んで直ぐに出かけることにしました。聞いてはいましたがかなりきつい坂道でこの日のお昼ご飯と午後のお茶に頂いたクッキーはしっかりエネルギーとして使い果たしダージリンの健康的な生活1週間のスタートとなりました。



グムテ茶園(Goomtee T.E)の景色
ゲストハウスのちょっと下にファクトリーがあります。その前で取った写真です。

見てくださいこんなに霧がかかっています。しかし10分もたつとまるで違った景色になります。風がこの霧を押し流し景色がすっきり見えるようになります。また直ぐに5メートル先が見えなくなったりします。この霧の向こうに、ジュンパナ茶園(Jungpana T.E)が
見えます。特にファーストフラッシュの時期はひんやりとした空気と陽が射すと暑くなり益々霧がでて陽をさえぎり天然の覆いが茶葉にかかります。(玉露は藁をかけたり黒い寒冷紗をかけますが天然ですね!)




ジュンパナ茶園と工場ファクトリーまでの景色
4月には水があまり無く石が見えています。この下が滝つぼのようになっていてそのそばを木で橋がかかっていて川を渡り、長い坂道と階段を上りきるとジュンパナ茶園と紅茶のファクトリー(製茶工場)があります。また機会があれば紹介したいと思いますが、2004年6月セカンドフラッシュのために私は再びこのGoomtee茶園に訪れこの景色を2ヵ月後にみました。この乾いたところに多くの水が勢い良く滝のように流れたった2ヶ月で環境が違います。セカンド・フラッシュがまったく違う香りや味なのが実感として感じる旅でした。
この後、毎日色々な茶園を訪問しましたので次回以降何度かに分けて紹介していきたいと思っています。



茶園まで行くのも大変!
上っていく途中下で降りた私たちが乗ってきたジープが止まっているのが見えます。かなり下に車を置いて降りて歩かないとこの茶園にはいけません。茶園のオーナーの言うにはここに4月のファースト・フラッシュ、5月途中から6月のセカンド・フラッシュの時期に毎日宿泊先のGoomteeのゲストハウスから毎日往復するだけで大変ダイエットになるとの事! 私も2ヶ月ほど茶園修行に行かせてもらったらダイエットが出来るでしょうか?上まで上がると息が弾み心臓が口から飛び出しそうでした。



Jungpana茶園
これがGoomtee茶園から見たJungpana茶園です。真ん中よりちょっとしたの白い建物がそうです。真ん中の下の木がGoomtee茶園の写真に映っている木です。ちょっとくらべてください。霧が立ち込めると向こうがどんな景色か想像もつかないでしょう。
Goomtee茶園の霧がはれると向かい側に屋根に大きく「 JUNGPANA 」と書かれたファクトリーが見えます。約6Kmですが歩くと遠いので途中車がいけるところまで乗っていき後は登って行きます。 このような立地条件がダージリン独特の豊かな香りと味わいを育て上げるのが実感として伝わってきます。 次回はこの茶園の紅茶の製造と茶葉を見ていただきたいと思っています。お楽しみに!!



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