■ 第二十六回 紅茶の故郷

ポルトガルから英国に嫁ぐときに、キャサリンがポルトガルから持っていったBOHEAというお茶は何だったのでしょうか?
私の疑問が中国行きとなり、紅茶のルーツは?と1997年より中国へのお茶の旅が始まりました。

福建省武夷山市にある、武夷山は、岩茶と呼ばれているおいしい烏龍茶の産地で、
1999年世界遺産となった風光明媚な水墨画のような景観なところです。

今回紹介する、BOHEA(ボヘア)とは、矢沢利彦先生の本によると
「Bu−iの= 武夷の」を意味するラテン語式綴りであるそうです。

この名前の武夷山へ、4回訪れ、まだもっとその奥にある紅茶の産地、星村鎮 桐木村を3回訪問したお茶の旅の様子です。



武夷山九曲渓

武夷岩茶は、この川の周りの岩場に育っています。
筏に乗って九つの曲を優雅に風に吹かれて心身ともに清められる気がします。



武夷山
武夷山と呼ばれるエリアは京都で東山三十六峰というのと同じく、どの山が武夷山と言うのでなく、九曲渓、三十六峰、九十九岩がある景勝地です。ここの筏乗り場は星村にあります。



自然保護区の看板
ここから先、車で1時間ちょっと行くと桐木村がある。ここに入るには登録されている車しか入れません。
自然保護区のためにこの看板があるゲートから先の植物や種、葉っぱ一枚持って出ることも許されません。



お茶摘みの風景

1999年、私が香港のお茶の先生に始めて桐木村に連れて行っていただいた頃は、まず星村の公安に入境許可書をもらいに行って、その上、正山小種の工場の方に車で迎えに来ていただくという面倒な入村状況でした。

2006年5月今回は3度目ということもあり緊張は、しながらももっと先までお茶の木があるのか武夷山脈の最高峰まで行くことにしました。
紅茶工場を超えてしばらくちょうど茶摘の時期で初めてお茶を摘んでいる風景に出会いました。



 

正山小種はこのエリアで育つ茶樹から作られた紅茶が龍眼のような甘く果実のような味と香りがするので特別な紅茶として西洋人に好まれたようです。
このあたりの茶樹で作られたものが本場のものという意味の中国語「正宗」から正山、貴重で少ないという意味の「小種」それでこの紅茶を正山小種と読んでいます。
この工場の周りに沢山お茶の樹があり小さな農家が管理して工場に生茶葉や製造した荒茶で持ってきて買っていただくようです。こんな茶畑があるとは一回目には気がつきませんでした。

第二のゲート 
福建省の西北部、江西省との境に武夷山脈があります。ここの手前に桐木関のゲートがあります。
福建省と江西省の人の出入りを管理するためでしょうか。ちょうど日本の関所といった感じです。
ちょっと緊張して車から出たり日本語は話さないで!と車で案内してくれた方から指示があり気をつけて車内からの写真で見にくいですが「桐木関」です。



黄崗山
その武夷山脈の最高峰の黄崗山、2158メートルです。江西省に出入りするのに大変重要な場所ということで以前はここに軍の基地があり今も建物の跡地があります。
ここまであがって来ましたがさすがこんなところには茶の樹は植わっていませんでした。



 
見晴らしが良い山頂です。小さな小屋でこのあたりで集めた野性の蜂の蜂蜜を販売していました。
帰りに道沿いに木箱が置いてあってこれを集めているのだと思いました。大自然の中ですがちょっと観光気分にはならない不思議な山頂でした。



22代目江さんの会社
自然保護区元勲茶廠、川の向こうの建物の屋根の上に大きな看板が!
ここが22代目江さんの紅茶の会社の建物です。紅茶工場は昔ながらの木造の建物があります。ここではテースィング室や会議室、事務所などがあります。



正山小種発源地の記念碑

今年こんな記念碑が出来ていて大変驚きました。
磯淵さんの「二人の紅茶王」で紹介されている江さんが代表の紅茶の会社の前です。
ここ以外にももう少し奥に紅茶工場やショップがあり2000年の9月から6年ぶりなので驚きました。



 
会社の名前も入り口に書かれていて、「国家級自然保護区正山茶業有限公司」
いまや欧米に自然保護区の中にある有機栽培のお茶ということで大変話題のようです。



 
中国紅茶のテースティングもイギリスと同じでこんなカップを使います。
ちなみに祁門紅茶の工場でも同じようなものが使われていました。



 
ちょっと違うところは金属性のスプーンでなく陶器のレンゲが使われていることです。



まずは第一部、工場を武夷山からご案内しました。
次は工場での紅茶の製造をご紹介したいと思います。



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