トルコティー

■ トルコのお茶

トルコのチャイハナ
一日はお茶から始まり、お茶の合間に仕事をし、寝ている間はとりあえずお茶を飲むのをやめる。寝ながらお茶を飲む方法を誰も知らないから。トルコの人達は、お茶に対する自分達の情熱を精一杯伝えようとします。そこへ行った人達は、まるで自分が足のついたお茶の容器になったような気がします。お茶でお腹からちゃぽちゃぽ音をたてるように、タンニンとカフェインを詰め込んでトルコを移動することになるのです。

お茶はオスマントルコ時代の初期に、中国経由でヨーロッパから入ってきました。その当時、「お茶を一杯」という習慣は、茶葉の輸入量 が限られていたので、一部の人だけで楽しまれていました。200年ほどまえから、人々の間にお茶が浸透していき、普段いちばんよく飲む熱い飲み物になりました。今では飲まれているお茶のかなりの量 を自国で栽培しています。黒海沿岸のリゼの東にある高音多湿の丘で栽培されており、茶畑の大部分は急斜面にあります。

お茶にうるさい人達からも、コクのあるリゼのお茶は絶賛されています。気分を変えて違うものを飲みたいと思ったら、他にもバラエティーに富んだお茶があります。

アップルティーは比較的新しくでてきたものです。もともとお茶ばかり飲んでいる旅行者のために考えられましたが、今ではトルコ人にも大人気です。ただ、観光地から離れれば離れるほど、アップルティーをみかける機会は減っていくでしょう。また、アップルティーを健康のために飲んでも無駄 です。フルーツのようなフレーバーがついているだけで、りんごの持つ栄養素は何も含んでいませんから。

一煎めのお茶はぜひ飲みましょう。かぐわしい香りがします。数煎目のお茶になるとタンニンが多くなって、香りが落ちています。茶器は、ソーサーの上に繊細なチューリップ型のグラスを載せたものを使い、そこに角砂糖を2つ添えています。トルコの人達はその砂糖を2つとも入れますが、中には3つ入れる人もいます。濃いトルコのお茶は、角砂糖を入れることで味がまろやかになるのです。ただアップルティーやハーブティーは、砂糖なしの方が美味しいですね。お茶に砂糖を加えたら勢いよくかきまぜて、スプーンをソーサーに戻します。飲み終えたら(いえ飲む前から)、もうおかわりをすすめられるでしょう。

ハーブティーは健康のために飲まれることが多いです。セージティー(アイランドティーとも言う)は地中海沿岸の地域で特によく飲まれています。タイムティーは消化不良に効くといわれており、菩提樹の花のお茶やシナモンティーやドライミントティーは胃痛に効くといわれています。オレンジティーやレモンティーは、そのフレイバーを楽しむために飲まれています。Oralet Teaというお茶は、どぎつい色のレモンティーで、飲んでいる時はサングラスをしたい気がするかもしれません。

お茶にミルクを入れて飲みたいと思っても無理です。観光地では、時々ミルクを出しているところもありますが、レモンのスライスを入れるほうが一般 的です。長距離バスでは、パウダー状のクリーマーが使われています。どうしてもミルクなしでお茶が飲めなければ、ハーブティーを飲みましょう。

■ Preparation

Demli:2層式のティーポット
トルコのお茶を入れるには、Demliという2層式のティーポットを使います。下の層に沸騰したお湯が入り、上の層はふたの役割を果 たします。お湯が沸いたら、一人あたり茶さじ山盛り一杯の茶葉を下のポットに入れます。そして上の層にも水を入れます。そのポットを弱火で20分ほど火にかけます。空焚きしないように注意が必要です。お茶が入ったら、下の層のお茶をチューリップ型のグラスに注ぎ、上の層のお湯を使ってお茶の濃さを調節します。抽出できなくなるまで、両方のポットに水を適宜足していけばいいのです。

トルコにはSemaverという紅茶沸かしがあり、ピクニックや火がないところでお茶を入れるときに使います。装飾がほどこされた容器の真中に、筒状の水を入れる場所があり、水道水をそこに注ぎます。その筒状の部分を囲むように炭をセットするようになっています。セパレート型のポットをSemaverの上におき、火をおこした炭で水を沸かすようになっています。

■ Tea Etiquette

とにかく、一日中お茶の時間だということです。他のことは、ささいなことにすぎないのです。立ち止まれば、どんな時でもお茶を勧められるでしょう。バスを待っている時、友人の家を訪ねた時、買い物の時。もう断わりきれません。「いえ結構です」という言葉はないのも同然です。

この国の茶信仰に巻きこまれないようにすることは難しいのです。しばらくすれば、起きたてに飲むお茶を待ち焦がれるようになるだろうし、バス旅行でお茶休憩の計算をするだろうし、休憩時間に庭でお茶を飲むようになるでしょう。日陰の庭で、たくさんの人と同じように、お茶を注ぎ足しながら座って、話をしたり、手紙を書いたり、ただお茶をすすっているだけでも、心が落ち着きます。お茶には何か特別 なものがあります。

どんなビジネスにもお茶はつきものです。たいてい男の子ですが、絶え間ない要求に応えてお茶を近所に運んでくれます。レストランでさえ、お茶(またはコーヒー)を宅配してくれます。お茶は近くの小さい店で入れ、トレイにのせるか、ワイヤー製のかごに入れて急いで宅配されます。家では、長女または嫁がお茶を入れる役目を果 たします。彼女達は決して他の人と一緒に座っていません。常にみんなのカップが空いていないか目配りしています。

Lonely planetの"World Food TURKEY"より抜粋


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